【ボケたくない】最新研究から見た「認知症を予防するために大事なこと8ヵ条」

ちょっと気になる日常医学

こんにちはSKBです。

認知機能の低下が起こるのは生理現象であり、どうしようもないものです。その中でもなんとか認知機能を予防する方法はないかと考え、調べてきました。ぜひ参考にして、日常生活に取り入れてみてください。変わり種で言えばコーヒーやお茶で認知症を予防できるという論文などがありました。

認知症の種類

認知症と一概に言っても様々な種類があります。

認知症の種類
  • Alzheimer型認知症
  • 脳血管性認知症
  • 前頭側頭型認知症
  • Lewy小体型認知症

皆さんが一般的に認知症と呼んでいるものはAlzheimer型認知症です。

Alzheimer型認知症とは脳内にアミロイドβという蛋白質が異常に蓄積したり、神経原線維変化という変化が脳内で起こり、脳が萎縮することにより記憶や判断力といった認知機能の低下を引き起こします。

認知症の疫学 65歳以上は5人に1人が認知症に

厚生労働省のデータによると日本の65歳以上の認知症の数は2025年には約700万人になると予測されています。

病状の進行と経過(認知症診療ガイドライン2017より)

症状
  • 物忘れ
  • 記銘力低下(新しい物事を覚えておく力の低下)
  • 語健忘(人の名前や単語などの固有名詞を忘れる)
  • 視空間性障害(眼は見えているのに、物として認識できない 例:ハサミを見てもそれがハサミだとわからない)
  • 失行(麻痺などがないのに一連のパターンのある動作などができない。例:椅子に座って立つなどの一連の動作)
  • 病識低下(自分が認知症であるということすらわからなくなる)
  • 自発性低下(自発的に何かに取り組むことが少なくなる)
  • 取り繕い(忘れているのに、覚えているように振る舞うなど、健常のふり)
  • 振り返り(周囲の人に確認をとる振り返りなどをします。耳が遠い人などの似たような行動をよく取ります。お医者さんと会話している時などに、話が理解できず、連れてきてくれたご家族の方を頼って振り返りをよくします。)
  • 構成障害(複雑な図形の描画模写が障害される)
  • 観念性失行(日常道具の使用障害など)
  • 観念運動失行(自分では動くことはできるが、この動きをまねたりなどができなくなる)
  • 着衣失行(麻痺などがないにも関わらず、服をうまく着る事ができなくなる)
  • うつ症状

このように認知症では非常に多岐にわたる症状が出ます。その中でも初期にご家族などが気づきやすいのは、記憶障害、そして仕事や家事を行う能力の障害である遂行機能障害です。

最終的には整容(髭をそったりお風呂に入ったり)、トイレ、日常動作、などができなくなり、寝たきりの状態となります。

末期の状態では低栄養や脱水、誤嚥性肺炎などの感染症で亡くなります。

認知症の前兆

認知症になると短期記憶が障害されたり、判断能力が低下するため日常生活に支障をきたします。日常生活に支障をきたすほどの状況ではないけれども、正常とも言えない状態のことを軽度認知障害(MCI:mild cognitive impairment)と言います。

軽度認知障害は認知症へなりかけの状態ともいえ、軽度認知障害から認知症発症は1年で16%、2年で24%、3年で49%です。(認知症診療ガイドライン2017より)

しかし、軽度認知障害になったからといって落胆する必要はなく、軽度認知障害の状態から5年後に38.5% が正常化したという報告もされています(6)

家族や知り合いが認知症かも?と思ったら

認知症かどうかをチェックするための一つの指標となるのが長谷川式認知機能検査やMMSEという検査になります。この検査は医療機関でも行いますし、質問するだけなのでご自宅で行なっていただくこともできます。詳しく見たい方はこちらの記事を確認してみてください。↓

Alzheimer型認知症 薬物治療

現在ある認知症に対する薬は限られています。

大きく分けてコリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体拮抗薬の二つです。

しかしこれらの薬は認知症を治す薬ではなく、進行を遅らせる程度の効果に限られています。

これらの薬は認知症患者の生存期間を延長することが報告されています。

コリンエステラーぜ阻害剤
  • ドネペジル
  • ガランタミン
  • リバスチグミン
NMDA受容体拮抗薬
  • メマンチン

認知症を発症しやすくする要因は何!?

軽度認知症から認知症へと進行するリスクとなる要因が研究されています。

軽度認知症から認知症へとなりやすくなる要因(1)
  • 糖尿病
  • メタボリックシンドローム(肥満による脂質異常、高血糖、高血圧)

たくさんの論文をまとめたより信頼性の高い論文をみてみると。下図のような要因がリスクとなるようです。

認知症を発症するリスクとなる要因(4)
  • 高齢
  • 女性であること
  • アルコール(適度なアルコール摂取は認知症の発症リスクを低下させるが、多量のアルコール摂取は認知症の発症リスクとなる。)
  • 喫煙
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • うつ病
認知症を発症するリスクとなる要因(5)
  • ビタミンD欠乏

そのほかにも入れ歯の数が増えると脳血流が低下しやすく、認知症の発生リスクとなる可能性があるということが指摘されています(4)。そして面白いことにビタミンD欠乏により認知症を発症するリスクが高まることが報告されています(5)

糖尿病、メタボリックシンドロームなど生活習慣病が認知症発症と関わっているようです。意外なことに運動不足は認知症のリスクとなりませんでした。(2)

しかし運動によって糖尿病、メタボリックシンドロームのリスクを低下させる効果は期待できるので、運動が直接的に認知症を予防する効果はないですが、運動が結果的に認知症を予防する効果があると言えると思います。

そしてこれらのリスクの個数が増えるごとに認知症を発症しやすくなるという研究もあります(3)。そのため、一つでもこれらの要素を減らすことが認知症を予防するためには大切になります。

認知症の予防方法のために大切な8ヵ条

上でリスクについて説明しました。そのため、そのリスクをできるだけ下げることが予防につながります。

認知症を予防する方法
  • 多量のアルコールは避ける
  • 喫煙はしない
  • 高血圧治療
  • 糖尿病治療
  • うつ病治療
  • ビタミンD不足を解消する
  • お茶(緑茶)・コーヒー・紅茶の摂取
  • 聴力障害の改善

日常的に簡単に取り入れられて認知症の予防効果がある可能性が指摘されているものに緑茶やコーヒ、紅茶などがあります。カテキンとカフェインが認知症に与える影響についての研究がされていて。これらの飲料物が軽度認知症の状態を改善する可能性が指摘されています(7)

そして個人的に施設を回ったりして、認知機能の低下が起きている人と話をしてみて感じたのは、聴力の低下です。認知症を患ってらっしゃる人が必ず聴力低下しているわけではないのですが、聴力が低下するとコミュニケーションを取るのがどんどん困難となってきます。そのため、会話すること自体が減ってしまい、認知機能が低下が進行するのではないかと感じました。実際に聴力低下と認知機能低下を調べた論文を見つけました。やはり聴力低下と認知機能低下には相関関係が認められているようです(8)

そのため、ご家族などで、聴力が低下してきたなと感じたならば、ぜひ補聴器などでもいいので、より少しでも長く会話できるように、工夫してあげてください。

ビタミンDについて注意点ですが、多く取ればいいというものではないので、過剰摂取を絶対にしないように気をつけてください。

認知症の特効薬はできるのか!?

UnsplashGlenn Carstens-Petersが撮影した写真

アルツハイマー型認知症の薬は作るのが大変難しく、有効なものが今までありませんでした。

2021年にFDAがアデュカヌマブという薬をFDA(アメリカの厚生労働省みたいなところ)が条件付き承認しました。アデュカヌマブという薬はアルツハイマー型認知症の原因となるアミロイド斑を脳内から減らすという薬です。現在日本で承認されている薬は進行を抑制する程度の薬ですが、アデュカヌマブは根本原因を改善することができるという点で非常に日本でも注目を浴びています。しかし、アミロイド斑を減らすが、アルツハイマー型認知症を改善するかどうかは未だ不明確な部分もあるようで、追加の臨床試験が行われています。そのため日本でも取り入れられていません。

現在、同様の薬の臨床試験は進んでいます。今までアルツハイマー型認知症は治らない病気でしたが、将来治る日が来るかもしれません。

便利グッズ

認知症関連の病棟や在宅で便利な道具としてカレンダーやテレビ、そしてお薬カレンダーなどがあります。

今日が何日かわからなくならないためにカレンダーやテレビなどをみれるようにしていたりします。

そして在宅で過ごしてもらうのにお薬カレンダーなどが便利です。ドラッグストアや100円均一などでも売っています。参考までに貼っておくので、気になる方は見てみてください。

まとめ

認知症発症のリスク・予防について書きました。

ビタミンD不足、お茶やコーヒーで認知症を予防できる可能性であったりと、日常生活でもすぐ取り入れることができるものもありましたので、実践してみてください。

references

(1)Kingshuk Pal et al. Mild cognitive impairment and progression to dementia in people with diabetes, prediabetes and metabolic syndrome: a systematic review and meta-analysis 2018 sep 4;53(11):1149-1160

(2)Archana Singh-Manoux et al. Physical inactivity, cardiometabolic disease, and risk of dementia: an individual-participant meta-analysis 2019 Apr 17;365:1495

(3)Ruth Peters et al. Combining modifiable risk factors and risk of dementia: a systematic review and meta-analysis 2019 Jan 15; 9(1):e022846

(4)Bumjo Oh et al. Association between residual teeth number in later life and incidence of dementia: A systematic review and meta-analysis 2018 Feb 17; 18: 48

(5)Liang shen and Hong fang Ji. Vitamin D deficiency is associated with increased risk of Alzheimer’s disease and dementia: evidence from meta-analysis 2015 Aug 1; 14:76

(6)Ishikawa T et al. Psychogeriatrics. 2007, Malek-Ahmadi M et al. Alzheimer Dis Assoc Disord. 2016, Shimada H et al. J Am Med Dir Assoc. 2017)

(7)Qing-Ping Ma et al. Meta-Analysis of the Association between Tea Intake and the Risk of Cognitive Disorders 2016 Nov 8; 11(11): e0165861

(8)K Lau et al. Age-related hearing loss and mild cognitive impairment: a meta-analysis and systematic review of population-based studies 2021 Dec 13; JLO Editors’s Choice Papers 2022

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