関西テレビNEWで2000年生まれの女性20歳時の子宮頸癌リスク高いというニュースを見ました。
このニュースを見て不安を覚えた方も多いのではないかと思います。なぜ2000年生まれなのか?一体どういうことなのか?など疑問を持った方が多くいらっしゃるようなので、その疑問を解消できればと本記事を書いております。
データは厚生労働省の報告書を利用しています。
情報源:11月15日 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会
子宮頸癌とは
子宮頸癌とはその名の通り、子宮の頸部という部分にできる癌です。そしてこの癌はHPV(特に16型、18型)というウイルス感染によって引き起こされるとされています。そしてこのHPVウイルスは性交渉によって感染するものとされています。そのため性交渉を行う前にワクチンを打つことが効果的となります。2021年、現時点では小学6年生〜高校1年生にて公費負担で市町村が実施する定期摂取となっております。ワクチンは性交渉によりすでに感染したHPVを取り除く効果は基本的にはなく、HPVへの感染を防ぐためのものとなっております。そのため性交渉をしている人が少ないであろう小学6年生〜高校1年生のみ公費負担のワクチン接種が行われているものと考えられます。厚生労働省では
「投与することでベネフィットがリスクを最も上回ると期待できる者を定期接種の対象者」と定めているとあります。
HPVワクチンの歴史 なぜワクチンを打っていない人がいるのか
2009年 日本で正式に承認
2010年 任意で接種開始(打ちたい人は打てる状態に)
2013年 4月 定期摂取開始(積極的推奨開始:多くの人が打つようになる。)
2013年 6月 積極的接種推奨の一時差し控え
積極的接種が中止されたのには「ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛がワクチン接種後に特異的に見られたことから、副反応頻度がより明らかになり、国民に適切な情報が提供できるまでの間、定期摂取を積極的に推奨すべきではないとされた。」とあります。
平たく言えば、副作用がメディアで強く取り上げられ、その恐怖心から国民がワクチンを打ちたくないという感情が強くなったという背景があります。そして副作用の事実関係を確認するために国もワクチン接種を推奨できなくなりました。
2015年 9月 積極的推奨の一時差し控えの継続
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2022年 積極的推奨の再会が正式に決定
なぜ2000年生まれが話題になっているのか
上の歴史のパートで述べたような背景があるため、2000年〜2006年生まれ(2021年現時点15歳〜21歳ではワクチン接種率が非常に低いものとなっております。
そのため20歳での子宮頸癌の検診にて異常が目立ち始めたことがニュースで取り上げられたのではないかと思います。2000年生まれのHPVワクチン接種率は14.3%であるのに対して1999年生まれは約70%が接種しています。つまり一年前の検診ではワクチンを多くの人が打っていた状態であったと言えます。来年以降も2006年生まれまでは少なくともリスクが高い状態であることが予想されます。(来年以降20歳になる人たちはワクチン接種率がもっと低いです。)
今からワクチンを打っても無駄?
まだ性交渉をしていない人、そして性交渉をしてはいるが、HPVに感染していない人、またはHPVに感染はしているが癌化する16型、18型に感染していない人には有効です。
厚生労働省の報告書では「HPVワクチンは、定期接種の対象年齢以上の世代に接種した場合であっても一定程度の予防効果が期待できるが、性交経験によるHPV感染によってワクチンの予防効果が減少することが示されている。」とあります。
自費でワクチンを打つのは不公平じゃないか
現在、小学6年生から高校1年生の女の子は無料で接種できます。
公平な接種機会を確保するという観点から、定期摂取の対象年齢(小学6年生から高校1年生)を超えても接種を行うことが検討されているようです。
しかしながら現時点では対象年齢外の人は非常に高額をかけて打つことが必要となります。具体的な金額は実際に各病院へ問い合わせてみてください。
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2021 12/23 本日 厚生労働省の分科会にて1997年〜2005年生まれの女性に対して子宮頸癌ワクチンの公費接種が決定しました。来年4月から原則無料にて接種可能なようです。
ワクチンの種類
国内で承認されているHPVワクチンには
2価:16型、18型(子宮頸癌と関係していると言われている型に対応)
4価:16型、18型(子宮頸癌対応)と6型、11型(性病の一つである尖形コンジーローマ対応)
の2種類があります。
子宮頸癌を防ぐという観点からはこの二つに大きな違いはないようです。
子宮頸癌予防で一番大切なこと
子宮頸癌予防で最も大切なことは20歳を超えたら子宮頸癌検診を婦人科で定期的に実施し早期発見することです。対象年齢になれば各自治体からクーポンが送られてきて、検診を促されるはずです。
早期発見、早期治療が一番大切です。
癌の進行
軽度異形成→中等度異形成→高度異形成、上皮内癌→浸潤癌(癌が広がっていくこと)のような経過で進行して行きます。
繰り返しになりますが、いかに早く発見できるかが大切になります。
子宮頸癌治療
高度でない場合は病変が自然消滅することがあるので経過観察を行います。そして高度の病変の場合には子宮頸部円錐切除術という手術が行われます。また近年ではレーザによる治療もあるようです。
終わりに
不安を抱えていた方に情報をと思い書かせていただきました。
不安な気持ちは払拭しきれませんが、まずは検診、早期発見が大切だと思います。そしてワクチンを打つべきかと悩むかたもいらっしゃるかもしれませんが、まずは婦人科などを訪れてお医者さんに実際に相談をしてみることが大切だと思います。
この記事はワクチンを接種することを推奨しているものではありません。
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