認知症が疑わしい患者さんに対して簡単に行えるテストがあります。今日はその中でも特に有名な長谷川式認知症スケールを紹介したいと思います。
長谷川式認知症スケール

長谷川式認知症スケールはご自宅で簡単に行えるので、認知症が進んでいるかなと思う人に実施してもらい、問題がある様なら病院で検査を進めるという方針がいいかと思います。しかし、認知症のテストをされて気分のいい人はいないです。その人のプライドや尊厳を傷つけることのないように注意しましょう。私の知り合いの精神科医は昔から馴染みの酒屋さんの店主さんに善意で実施したところ良い点数だったため、めっちゃキレられたそうです。テストを実施する際は注意を払って行ってください。
30点満点のうち20点を下回ってしまうと認知機能の低下が疑われます。しかし、このテストだけで認知症の診断がつくわけではないのでご注意ください。また繰り返しのテストは学習による高スコアを生み出し、認知機能を評価しづらくなることがあります。
それでは早速、以下の9つの質問で点数を出してみましょう。
Q1:お歳はいくつですか?
2年までの誤差は正解とします。
正解→1点
不正解→0点
Q2:今日は何年の何月何日ですか?何曜日ですか?
各項目に点数を出します。今日が8月と答えられたら1点、17日と答えられたらさらに一点といった具合です。
年を答えられた→1点
月を答えられた→1点
日付を答えられた→1点
曜日を答えられた→1点
答えられなかった→0点
Q3:私たちがいまいるところはどこですか?
何もヒントを出さずに5秒待ってみて、5秒待って答えられない様でしたら、家ですか?老人ホームですか?などと問いかけてみましょう。
ヒントなし→2点
ヒントあり→1点
答えられず→0点
Q4:これから言う三つの言葉を言ってみてください。後でまた聞きますのでよく覚えておいてください。
①:a)桜、b)猫、c)電車
②:a)梅、b)犬、c)自動車
①または②のどちらか好きな方を尋ねてください。
思い出せた数だけ点数がつきます。
3単語思い出せた→3点
2単語思い出せた→2点
1単語思い出せた→1点
思い出せなかった→0点
Q5:100から順番に7を引いてください。
「100ひく7は?それからまた7を引くと?」と質問して引き算をしてもらいます。間違えたら打ち切ります。93が答えられなかった場合、86が答えられても0点となります。
93が答えられた→1点
86が答えられた→さらに1点
93がこたえられなかった→0点
Q6:私がこれから言う数字を逆から言ってください。
STEP1 「6-8-2」と三つの数字を順番に伝え、2-8-6と答えられたら1点となります。
STEP2「3-5-2-9」と四つの数字を順番に伝え、9-2-5-2と答えられたら1点となります。
STEP1,2共に答えられた→2点
STEP1,2の片方だけ答えられた→1点
両方答えられなかった→0点
Q7:先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください。
Q4で覚えてもらった3単語をもう一度答えてもらいます。ヒントなしで答えられたら各単語2点ずつ。ヒントありで答えたものは1点となります。
ヒントなしでは答えられそうにない場合、ヒントを伝えてみましょう。
ヒント:a)植物、b)動物、c)乗り物
3単語覚えていた→3点~6点(ヒントが必要だったものは1点で計算してください)
2単語覚えていた→2点~4点
1単語覚えていた→1点~2点
思い出せた単語がなかった→0点
Q8:これから5つの品物を見せます。それを隠しますので、なにがあったか言ってください。
基本的にはなんでもいいので、時計、鍵、タバコ、ペン、硬貨などの五つのものを見せたのち、隠して、幾つ思い出せるかを確認します。思い出せた数だけ1点ずつ加点します。
5つ思い出せた→5点
4つ思い出せた→4点
3つ思い出せた→3点
2つ思い出せた→2点
1つ思い出せた→1点
思い出せなかった→0点
Q9:知っている野菜の名前を出来るだけ多く答えてください。
10秒待っても野菜の名前が出てこなくなったら打ち切りとします。
10個言えた→5点
9個言えた→4点
8個言えた→3点
7個言えた→2点
6個言えた→1点
0~5個言えた→0点
合計得点は30点です。20点を下回ると認知機能の低下が疑われる状態となり、検査をする必要があるかもしれません。しかし20点を下回ったからと言って必ずしも認知症であると言うことは言えないのでご注意ください。
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