医学部の6年間はどうすごす!?ポリクリ・病院見学の注意点【現役医学生が解説】

医学部の6年間

こんにちはSKBです。

今日は医学部の6年間の流れについて。これから学年が上がっていく医学部低学年の人や、医学部を志望している受験生にとって、少しでも学生生活のイメージが湧くようにと思って書いています。

1年生

人によっては数年間に及ぶ長い受験生活から解放されてホッと一息つける年となります

教養科目

一年生では、英語、数学など一般的な教養科目を学びます。第二言語としてフランス語やドイツ語や韓国語など様々な言語を学ぶことができます。今はもしかしたら変わっているかもしれませんが、英検準一級やTOEICで大学での基準より高い点をとっていると英語の授業が免除されます。といっても成績は最高成績がつくわけではないので、成績にこだわる人は英語の授業を受けることをお勧めします。

パソコン購入は慎重に

余談ですが、生協で購入させられるPCには気をつけましょう。細かくは書きませんが、安くない割に性能が低いパソコンを購入させられます。医学生の勉強道具(PCなどデバイス)についてはまた別記事で紹介したいと思います。結局、多くの人がiPadとPCを持つことになります。PCはWindowsが大半で、20%程度の人がMacを使っています。

2年

2年生では生理学(血の循環や呼吸など人間の正常な働きなど)や解剖学(人体の物理的な構造・働きについて)などについて学びます。解剖学は体力的にも大変です。人によっては6年間で一番きつい一年となるでしょう。

解剖実習

2年生で最も大きなイベントといえば献体下さったご遺体を解剖するということです。医学科以外でもご遺体で解剖する学部はありますが、数ヶ月かけてご遺体全てを解剖するのは医学科の特徴かもしれません。「解剖」というとカエルやネズミですかと質問されますが「ヒト」です。解剖台の上に寝かされたご遺体と数ヶ月、毎日向き合い、人体の構造や働きについて学ばさせていただきます。ご遺体の脂肪やホルマリン(腐りにくくするためのもの)の匂いが強く、マスクを2重にしている方もいらしゃいました。「解剖の手引き」という解剖するための手順が載った本に沿って解剖を進めていきます。3人ないし4人などのグループにつきご遺体が一人といったような形で解剖するため、仲間と一緒に議論しながら丁寧に解剖を進めていきます。そしてその日の学ぶべきポイントについて先生から口頭試問(口頭で行われるミニテスト)があります。このテストを突破しなければ帰宅は許されません。そのため20時過ぎまで帰れない人も多くいらっしゃいました。

無知な状態で解剖を進めると見なければならない構造を破壊してしまうことになります。ご献体下さった方に失礼がないように、予習をしっかりし、絶えず学ぶという姿勢が必要ですし、求められます。

余談ですが、解剖でご遺体に対して失礼があるとそれ相応に罰せられます。細心の注意を払いましょう。

解剖実習の流れや大変なことなどより詳しく知りたい方は単体で記事を書いていますので、参考にしていただけたらと思います。

3年生

1、2年生では教養科目、そして2年生では解剖という専門科目に片足を突っ込みますが、3年生では両足どっぷり専門科目につかることになります。この年に留年する人が多いイメージです。

本格的な専門科目の始まり

3年生からは実際に専門的な医学を知識として学ぶことになります。具体的な科目としては救急・整形外科・内分泌・泌尿器・脳神経・循環器・呼吸器など、広く医学について具体的疾患とその治療について学んでいきます。1年間カリキュラムがみっちり詰まっており、テストに明け暮れることになります。学校によってはテスト週間みたいにテストが重なるところもあれば、一週間ごとに違う科目のテストがあったりとその日程は異なるようです。

とにかく鬼のように勉強しなければいけない一年となります。医学部ではテストで基準点を満たせなければ再試験をしてくれる科目がほとんどですが、試験を落とせば落とすほど日程が過密になっていき、自分の首を絞めることとなるため、試験を落とさないように早くから準備する必要があります。

私立医学部では再試験に受験料が必要なようで、お財布にも優しくないようです。どうやら、再試験自販機なるものが存在し、自販機でお金を支払って再試験を受けるようです。

4年生

4年生のイベントとしては大きく分けてCBT・OSCEがあります。

そのほかにも学校によっては数ヶ月の研究実習(医学系ではない学部の人が4年で研究室配属され、論文を書くような実習)があったり、グループで学習する独自のカリキュラムなど、学校ごとによってその特色が分かれているようです。

CBT・OSCEとは

CBTという言葉に多くの人は馴染みがないのではないかと思います。これはComputer Based Testingのことでコンピューター上で知識のテストが行われます。そしてOSCEは実際に患者さんに問診・診察をするための基本的な手技・態度などが実際の人や人形を相手にしてテストされます。これらは5年生で病院実習(ポリクリと呼ばれます)するのに向けてスチューデントドクターの資格を取るための要件となります。(現時点では国家資格ではないようですが、実際に病院で実習するためにはCBTとOSCEに合格することが必要です。今後、準国家資格となる可能性があるそうです。)

みなさんぼろ雑巾になるまで勉強します。テスト直前2ヶ月間ぐらいはおそらくその辺の大学受験生よりも勉強することになります。

5年生

5年生ではいよいよ病院で実習を行うこととなります。4年のCBT、OSCEと大きな山を一つ乗り越えて比較的時間に余裕がある一年となります。

病院実習(ポリクリ)

数人でグループを作り、自身の大学病院や関連病院を各科順番に回っていきます。各科ごとに実習内容は異なりますが、基本的には担当患者が割り振られ、その患者に対して問診・診察などを行い、それらの情報をカンファレンスで発表したりといった、医者になるための訓練をすることになります。実際にいろんな症例を見させてもらったり、手術、出産を見させてもらうことで医学生が具体的に「医者」を意識し出す一年となります。

特定の3人ないし4人で約1年間実習を行うので、メンバー次第では地獄を見ることになります。仲がいいメンバーと一緒の班になることを祈るか、元から多くの人と仲良くしておくことをお勧めします。

医学生は大抵クセが強いので、普段通りの一人の時の気分で好き勝手やってるとモメますw。険悪なグループの情報が回ってきます。

メンバーにもよるのですが、協力してポリクリを乗り切るようなチームもあれば、孤独無縁なチームもあると言った感じで、各チームの個性が出ます。私のチームは割と勉強に関してはチームでやることが多いです。

チームに先生と渡り合えるようなメンバーが一人でもいればポリクリなど恐れるに足らずです。その人一人の力で1年間安全に過ごせます。

そして6年生の末に受ける国家試験の勉強も同時に進めていくこととなります。

3、4年生の時のように試験などに追われている訳ではないため、精神的・時間的に余裕がある一年となるかもしれません。

外科を回る時には実際に手術に多数入ることもあります。先生によってはかなり積極的に手術に参加させてくださる人もいらっしゃいます。手術用のガウンを着て、清潔と不潔の概念を学び始める年となると思います。ここでワンポイントレクチャーですが、手術室にある青い布には触らないようにしましょう。清潔野といって、清潔な状態を保っている場所になります。絶対に触ってはいけません。

CBTは就活に大切

医学生に就活なんてあるの?と思われるかもしれませんが、あります。自身で病院見学に行きマッチングというシステムを利用して就活を行います。この時点では6年生で受ける国家試験の合否・点数は出ていません。そのため就活で見られるのは、大学の成績であったり、4年生前後で受けたCBTの点数となります。大学の成績は、大学ごとに基準が異なるため、評価しにくいようです。そのため全国の医学生が受験するCBTが就活では重視されるようです。CBTはただ受かればいいという発想では就活で苦労する可能性があります。私の知人はCBTの点数がギリギリだったようで、就活で苦労されたようです。

病院見学

繰り返しになりますが、医学部にも就職活動に該当するものがあり、研修医の2年間をどこの病院で過ごすかがここにかかっています。

研修医の給料や働き方は各病院で異なります。また年間の救急車の受け入れ台数なども病院ごとで異なります。

給料だと年収300万円代のところから800万円代のところまであり、人気の病院と不人気の病院が分かれます。

病院では試験を課すところと課さないところがありますが、課すところは筆記試験、小論文と面接などが多いです。しかしながら多くの病院基本的に面接が重要視されているようです。

そこで大切になってくるのが病院見学です!

  • 見学が採用に加点される病院がある。
  • 見学が加点対象の場合→複数回見学に行く必要がある
  • 見学が加点対象でない場合→最低1回行っとけば大丈夫(1回しか行かないなら6年生の時に行くほうがgood。なぜなら、自分が研修医1年目の時に先輩になる一個上の世代の人たちがみられるから。そのほかにも面接、グループディスカッション、小論文など採用試験の直近の情報が得られるから。)

病院見学は見学をさせてもらうという建前ですが、自己PRのチャンスです。そのため本命の病院には複数回見学に行くことで誠意を見せ、採用に漕ぎつけようということになります。試験とは見掛けだけで、実際には試験の前に試合は終わっているという側面があります。

私が実際に見学した病院の研修医さんに聞いてみたところ大体3回は病院見学に来ていたようです。。。

つまりです。3回来た人しか採用されていませんでした。。。

本気で採用されたいという病院には最低3回は行くようにしましょう。

東京都など都会の人気病院は見学人数が多過ぎて、見学自体が採用基準に入っていないため、一回見学に行ったら十分みたいです。1回目に見学行ったときに研修医の先生に何回見学に行ったかを確認しましょう。一回も見学に行かずに面接で「見学きました!」って言って受かった人もいるみたいですw。人気病院はそのぐらい見学が多く、人を把握できてないみたいです。

特に田舎の病院では建前でもいいので「そこの病院で初期研修後も残って働きたい」というスタンスで臨みましょう。田舎の病院の方が見学回数などが採用に直結する傾向があるように思われます。

「2年間の研修を積んだのちに他の病院に行く」のが多くの研修医の本音ですが、地方の病院の採用担当者が欲しいのはその後も病院に残ってバリバリ働いてくれる人たちです。

頭でなんと考えていてもいいですが、就活での、ある種マナーとでも言える建前は守りましょう。

6年生

6年生では、学校によっては研究室配属で研究をやります。そして5年生の時の病院実習(ポリクリ)の続きをすることとなります。6年生の時の大きなイベントとしてはマッチング(就活)、そして卒業試験、国家試験があります。卒業試験を受からないと国試を受けることができません。

私立の医学部では国試の合格率を上げるために、卒業試験で点数の低い生徒を留年させます。

国家試験は6年間の集大成となるテストであり、知識の質、広さ共に求められ、非常に突破するのが難しい試験です。4年生の時をこえるような勉強が求められます。

国家試験

6年間の集大成となる国家試験があります。この試験を突破しなければ医師にはなれません。

国家試験の合格率は各大学90%前後と非常に高い水準を保っており、大学でその率を争っている側面があります。この率は大学の人気を左右するようで、私立大学としては運営していくために非常に大切となってきます。

そして国立大学の先生もその数字が低いと上から言われるのかCBT合格の基準点が上昇するなど、生徒への締め付けがキツくなります。毎年twitterで大学の合格率ランキングが回ってきます。

その時に受験予定者数と実際の受験者数が乖離している大学を見ると闇の深さを感じます。(私立大学では国試に落ちそうな人は留年させられるため。)

まとめ

医学部の6年間について書きました。質問などがあればぜひコメント残してくださいね:)

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