ロボットが手術!?ロボット支援手術 「ダヴィンチ」「ヒノトリ」

ちょっと気になる日常医学

こんにちはSKBです。ロボット使用手術で患者死亡 執刀医がミス 大阪・吹田市民病院というニュースを見て少し気になったのでロボット支援手術について書こうと思います。またロボット手術の他にもたくさん行われている手術の一つに腹腔鏡(ふくくうきょう)で行うものがあるので、そちらについても説明したいと思います。

ロボット手術とは

ロボット手術と聞いてロボットが自動で手術している様子を思い浮かべる方もいるかもしれません。

しかしロボット手術とは人がロボットを遠隔操作して行う手術のことを指します。

患者さんを手術台の上にのせ、ロボットを患者さんのそばにドッキング(設置)し、ロボットから出ている腕を4本ほどセッティングします。その腕を離れたところの操作台(コックピットみたいな所)から操作します。

腹腔鏡手術とは

腹腔鏡手術とは、腹腔鏡鉗子や剪刀などを人間が直接手で操作するような手術(イメージとしては長いハサミやピンセットを持って少し離れたところからするような手術)もあります。これはロボット手術ではなく、人間が直接行う手術ですが、この手術も体への負担が少ないものとなっています。

ロボット手術の良さとは

体の負担が少ない

ロボット手術は体に負担の少ない手術となっています。体に小さな穴を数個開け、その穴からロボットアームに装着した鉗子などを入れて手術をおこないます。昔みたいにお腹を開けて行うと、開く範囲が広く体への負担が大きなものとなります。

多関節

腹腔鏡とロボット手術はある意味似た手術なのですが、ロボット手術の良さの一つとして用いる道具が多関節であることが挙げられます。腹腔鏡で用いる道具は人間の手で例えると肘関節がない腕みたいな感じです。肘をピーンと伸ばして手首のグーパだけで手術するイメージです。臓器の裏側に回り込んだりといった柔軟な動きはできません。

それに対してロボットアームは多関節で人間の手で言うと肘関節・手関節がある状態になります。そのため遥かに動きの幅が広く手術が行いやすいです。手術が行いやすいということはそれだけ事故を少なくできるということにつながります。

3Dカメラで立体的に見える

ロボット手術の良い点に3Dの視点が得られることが挙げられます。

腹腔鏡ではモニターを見ながら手術をする形となります。家のテレビでお腹の中に入れたカメラから出力する映像を見ながら手術をするような感覚です。当然、2Dです。

それに対してロボットでは顕微鏡を覗くようなカメラで見ながら手術を行います。そのため両方の目からの視点が得られるため3Dの映像が得られます。(私たち人間も眼球が基本的に二つあるため3Dの映像が得られています。それに対して片目を失明してしまうと2Dの映像となってしまいます。)

手ブレしない

ロボットなのでもちろん手ブレしません。手が震えたりして周りのものを誤って切ってしまうということがないようになっています。

ロボット手術の弱点

難しい

ロボット手術は操作が非常に難しいものとなっています。また手術する時に術者は一人のため、オーベン(上の先生)が同時に教えながら手術するということが困難になっています。また外からオーベンが指示するにしても術者と外からでは見えている映像が異なる(後述)ため指導が非常に難しいものとなっています。

現在、ロボット手術指導なども行われていますし、学生向けのカリキュラムなどもあります。今後、ロボット学習カリキュラムがより充実して、術者の平均レベルの上昇が想定されます。

触覚がない

ロボット手術の大きな弱点として触覚がないことが挙げられます。自分の手で触って血管などの走行や周りの臓器の位置関係などを確認したりといったことがしづらくなっています。

腹腔鏡も触覚はありませんが、長いハサミやピンセットを介した感覚は伝わってきます。それに対してロボットは遠隔で術者が操作しているため、感覚が非常に乏しいです。

血管損傷するような事故はロボットで多いのではないかと個人的には考えています(データに基づいた発言ではないことに留意ください)。というのも感覚がないため、血管に触れていても全く気付かずスパッと切ってしまったりといったことが起こります。

3Dの映像を得られるのは術者だけ

手術支援ロボットにはダヴィンチとヒノトリがあります。現在、多くの病院で採用されているのはダヴィンチという海外で作られたロボットになります。当然、ダヴィンチの操作者は3D映像を見ながら手術を行うのですが、外でロボットアームを取り替えたり、吸引をおこなったりする人たちはモニターの映像(テレビを見るような映像)を見ているだけなので2Dの映像を見ている状態となります。そのため術者と外の人たちで見えている視点が異なり、コミュニケーションが取りづらくなっています。

これにより、意志の疎通が取りづらくなったり、外からオーベン(上の先生)が指示しづらくなったりするという問題があります。

(ヒノトリはその点に改良が加えられていますが最近導入され始めたロボットで、企業秘密の可能性があるため書けません。)

値段が高い

ロボット手術の問題点としてはコストが大きいというものがあります。手術ロボットの道具も何回か使ったら交換しなければならないなどランニングコストがかかります。そして本体のロボットも非常にお高いものとなっています。

軽く調べてみたところ手術費用200万円の3割負担で50万円程度の費用がかかるようなことが書いてありました。しかし高額医療制度で自己負担金10万円などでできる可能性があるので、手術を受けられる場合にはよく相談して手術なさってください。

保険収載されていないものがある

ロボット手術は2012年に前立腺癌の手術が保険収載されました。その後、腎細胞癌の部分切除術などに適応が広がり、現在では肺癌、胃癌、直腸癌、子宮体癌などにおける一部の術式にも適応されているようです。

しかしこれらの癌などでも全ての術式で適応が可能なわけではなく、一部にとどまっているのが現状です。そのため手術を受けられる予定のある方は担当のお医者さんとよく相談し、費用のことなども尋ねてみてください。

もう一度言いますが、ロボットはメリットもありますが、費用も高いですし、保険適応となっていないものも多いです。そのためよく相談なさってください。

まとめ

今日はロボット手術について少し書いてみました。図や絵などを用いていないため、少し説明がわかりづらかったかもしれません。もう少しここが知りたいよなどありましたらコメントでよろしくお願いします。

泌尿器科などではロボット手術の適応が拡大しており、ほとんどがロボット手術で行われる状態に現在なりつつあります。また他の部位についても保険適応が拡大してきています。ロボット手術がアタリマエの時代は目の前に近づきつつあるなと感じます。

そして従来のお腹を開けての手術はできる人が減ってきていますし、過去のものになりつつあります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました